― ライフ・サポートプログラムLSTのご案内 ―
発達障害とは
発達障害とは、生まれ持った発達上の特性のために、日常生活に困難をきたしている状態をいいます。
- 生まれつき脳の発達がアンバランスと考えられています
- コミュニケーションや対人関係が苦手
- こだわりが強く、臨機応変が苦手
- 忘れ物やミスが多い傾向があります
- 社会生活に支障をきたす場合に診断されます
- 自閉スペクトラム症、注意欠如多動性障害、学習障害などが含まれます
- 特性は一生続きますが、変化もします
- 診断がつかない人の中にも、弱い特性をもつ人は多いです
- 原因はわかっていませんが、親の育て方が原因ではありません
自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder;ASD)
以前は自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害などと呼ばれていました。
- 社会的なコミュニケーションの困難があります
- 人への関心が乏しい
- 人の気持ちを理解することが苦手
- 人への関わり方が一方的
- 冗談や比喩が理解できず、言葉通りに受け取る
- こだわりが強く、変化が苦手です
- 習慣、ルール、数字、物にこだわる
- 臨機応変に対応できない
- 興味や関心が偏っている
- 感覚が過敏または鈍感な人がいます
- これらの特性は、小さい頃からあります
- 100人に1~2人存在すると報告されています
注意欠如多動障害(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder;ADHD)
- 不注意
- 細部を見落とし、作業が不正確
- 授業や会議で集中を続けることが困難、気が散りやすい
- 課題を順序だてることが困難
- 持ち物や資料を整理することが困難
- 必要なものを失くしてしまう
- 時間の管理が苦手、締め切りを守れない
- 多動性
- じっと座っていることが困難
- しゃべりすぎる
- 何かにかりたてられるように活動する
- 衝動性
- 人が話終わる前にしゃべり始める
- 順番をまつことが困難
- これらの3つの症状のうちの一部が強く認められる場合があります
- 症状は12歳前から存在し、複数の状況でみられます
- 大人では不注意が目立ち、多動性は弱まります
ASDとADHDは合併しやすいといわれています
短所は長所
発達障害の人の短所は見方を変えると長所でもあり、強みにもなります。
一度に多くのことはできない | ⇔ | 一つの作業に長時間集中できる |
興味関心のないことは全く関心がない | ⇔ | 興味のあることは専門家になれる |
融通がきかず、頑固 | ⇔ | ルールや決まりをしっかり守る |
裏の意味を読み取れない | ⇔ | 正直で嘘がつけない |
順番にこだわる | ⇔ | 作業が正確にできる |
習慣にこだわる | ⇔ | 規則正しい生活ができる |
治療
発達障害の特性を治す治療法は、現段階ではまだありません。しかしいくつか工夫していくことはできます。
- 特性を理解し、苦手なことと得意なことを把握して、得意なことを生かしていく工夫をします
- 短所を長所として生かす場をみつけます
- ルールやマナーを守ることを身につけます
- 二次障害については、抗うつ薬などの有効な薬を使って治療します
- ADHDについては、治療薬があります
『いばらきASD就労支援プロジェクト』
iESPA(Ibaraki Employment Support Project for ASD)
こころの医療センター、茨城県発達障害者支援センター、茨城職業センターが緊密に連携し、支援システムを構築することにより、発達障害の人の就労を促進することを目的とするプロジェクトです。
当院ではこのプロジェクトの一環として、対人技能トレーニング「LST(Life related Skils Traininng)」を行っています。
自閉スペクトラム症の方のライフ・サポートプログラム
LST(Life related Skills Training)
生活対人技能トレーニング
自閉スペクトラム症(ASD)の診断を受けた方を対象にした、ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)という手法でコミュニケーションの困りごとの解決を目指すプログラムです。
SSTとは、Social Skills Trainingの略称です。ソーシャル・スキルとは、人間関係を作り社会生活を営むうえで必要となる技術や能力のことです。簡単に言うと、人と上手につきあいながら世の中をうまく生きるコツです。
このプログラムではいろいろな場面を設定して実際に会話の練習をしていきます。仕事に必要な身だしなみ・表情・雑談等のコミュニケーションのコツを学びます。他の参加者の皆さんと一緒に楽しみながら参加してみましょう。
プログラムの目的
① 人と上手につきあうコツを習得する
② 自分にあった社会生活の方法を身につける
日時 | 月曜日 12:30~ |
回数 | 10回シリーズ |
費用 | 約1260円 (3割負担の場合) 自立支援医療制度利用の場合 約420円 |
スタッフ | 看護師、精神保健福祉士、作業療法士 |
プログラム申し込み
まず主治医に、プログラム参加についてご相談ください。
その後、担当者がプログラムの説明をさせていただきます。
当院を受診されたことがない方は、はじめて受診される方へをご覧ください。
相談機関
- 茨城県発達障害者支援センター「あい」
〒311-3157 茨城町小幡北山2766-37
☎029-219-1222
- 茨城県発達障害者支援センター「COLORSつくば」
〒300-1245 つくば市高崎802-1
☎029-875-3485
- 茨城障害者職業センター
〒309-1703 笠間市鯉渕6528-66
☎0296-77-7373
情報提供サイト・参考図書
- 発達障害情報・支援センター
- みんなのメンタルヘルス(厚生労働省)
- 日本発達障害ネットワーク
- NPO法人アスペ・エルデの会
- NPO法人えじそんくらぶ
- NHK ハートネット 大人の発達障害
- 上野一彦,市川宏伸;図解よくわかる大人のアスペルガー症候群, ナツメ社
- 本田秀夫;自閉スペクトラム, ソフトバンク新書
- 佐々木正美,梅永雄二;アスペルガー症候群 就労支援編 (こころライブラリーイラスト版), 講談社